健康や生活を脅かす夜間頻尿とどう向き合うか
3.老後の常識! 日常生活を自己管理
▼ 衰弱していく高齢者達
認知症、ロコモ症候群(注1、サルコペニア(注2、フレイル(注3、老年症候群(注4、などに進む危険が増してきます。自分自身ではどうにもできずに、生活指導も効果なく、夜間頻尿が3〜5回と続く人たちを見かけます。
図1はフレイルの位置関係を示していますが、要介護の一歩手前の状態でいろいろな合併症や身体機能の脆弱(ぜいじゃく) 性を持った様子が示されています。
慢性疾患を併存し様々な老年症候群の症状を持つと、図2にあるように生活の予備能力が減少し、身体機能障害でオムツとなり、やがて要介護度が高くなり機能不全となり死に至るのです。
▼ プレフレイルの危険信号
健康体とフレイルの境界のプレフレイル状態では、生活のリズムを作るためにデイケア、デイサービスを勧めています。そうすれば、フレイル状態から脱することも可能だからです。それでもなお、自立困難の場合が続くと要介護になり、家人など周囲の判断でやがて施設入居になってしまう例をたくさん見てきました。
この状態では、よほど管理しなければ夜間頻尿は減らず、オムツになって生活の質が低下してしまう場合もあります。逆をいえば、夜間頻尿の状態の悪化が、プレフレイルの進行を知らせていると思うのです。
プレフレイルの兆候は治療抵抗性の夜間排尿回数が3〜5回と常態化することです。日々の目的、目標が希薄になり、活動水準が低下して座位時間が長くなった時にうたた寝しやすくなります。すると昼夜逆転して中途覚醒が増え、夜間頻尿が激しくなるのです。そして食欲も減り、負の螺旋階段を降りて行くことになるのです。
診察室でプレフレイル状態に陥った患者に夜間頻尿の原因を聞くと、座位時間が長くなり昼夜逆転になっていることを認めてくれるのです。これは危険信号であり、生活のリズムを作るためにプレフレイルの高齢者の学校であるデイケアセンター、デイサービスセンターを、まだの人には勧めています。
そうすれば、ある程度の回復があるとされており、それが改善の最後のチャンスなのです。その人の目的に合ったサービスを受けましょう。