【前回の記事を読む】【夜間頻尿を医師が解説】若い世代ほど治療効果が高く、年代を経るに従って効果が下がる!特に80代以降は治療抵抗性が…

健康や生活を脅かす夜間頻尿とどう向き合うか

4.泌尿器科でのリアルな夜間頻尿

《2019年7月〜2020年1月の年代別夜間頻尿の割合から季節変動をみた》

▼調査結果

1回以内(x≦1・5)、2回、3回以上(2・5<)の3つに分けて、年代別にそれぞれ7月から1月まで%表示で示しました。7月から1月にかけての定期通院患者全体の変化を見渡しました。月単位でみると、高齢世代になるに従い多い回数の割合が増加していました。

最も症例数の多い70代の月々の変動をみると、1回以内が65〜79%となっています。結局、暑い時期から寒い時期までの夜間頻尿に対する効果は、症例数の少ない90代を除けばあまり変動はみられず、目立ちませんでした。

また、10月は睡眠中の寒暖差が激しくなる初っ端の時期で、急激な変化に活動水準の低い90代にはこたえたのかも知れません。後で示す前立腺肥大症をはじめとする男性 LUTSの新患患者がもっとも増えるのも10月なのです。

この図で見てほしいところは、統計的にみる夜間頻尿の割合の変化は、月ごとの各世代の割合が2019年の大阪の暑い時期(平均気温29・1℃)から寒い時期(8・6℃)までそれほど変化せず、季節変化に対してある程度生活指導が奏功していたのではないかと思ってしまうところです。

それから、2019年7月〜2020年1月の年代別夜間頻尿のデータからその間の回数の累計をグラフにして、夜間回数の年代別の傾向をみてみました。それから夜間頻尿の治療(内服、内服+生活指導)にあたっての年代別の目標値を探ってみました。

《当院治療患者における年代別の夜間排尿回数の割合について》

次に図⑥.は、2019年7月〜2020年1月の累計患者を対象としたデータを使ってグラフ化したもので、夜間排尿回数の割合の推移を年代別に示したので見てください。ただし、回数を細かく聴取した時の関係で、0 回は月平均0・5回以内、1回は月平均0・5<x≦1・5、2回は月平均1・5<x≦2・ 5、3回は月平均2・5<x≦3・5回以内としています。