【前回の記事を読む】社会要請や指導要綱の改定に右往左往。教育現場の教師にとって重要なことは…
1 変化の激しい時代に向けた教育
1-1 求められる学習の在り方
学校で学ぶことに十分に慣れていると考えられる「大学生(子どもではありませんが)」の場合ですが、彼らにとって価値や意義を感じる授業や活動が望ましく、大学における学習に学生が目的をもっている(必要性を感じている)場合は役立つ授業を行うこと、目的をもっていない場合は楽しい授業・活動を提供することの考慮が一つの指針になると考えられます1)。
これを参考にするならば、子どもたち自身が必要性を認識していることについては役立つように、そうでないことについては楽しい授業を行うように、といった配慮をするとよいと考えられます。
1) こうしたことは、学習をやりなれていると思われる大学生にとっても同様である。
「学習者が自ら答えを見出す学習への価値づけ」「なぜ自分は今まで勉強してきたのか、勉強とは自分にとって何だったのか、なぜ自分は大学にいるのか、大学でなければならなかったのか、等を自分に問いかけてみる」(溝上慎一「大学生の学習意欲」『京都大学高等教育研究』2、京都大学、1996、p.194.)といった具合に「価値」がキーワードになる。
また、「自ら学ぶという姿勢を身につける上で、学ぶことに自分なりの意義を見出すことが重要」(伊田勝憲「教員養成課程学生における自律的な学習動機づけ像の検討―自我同一性、達成動機、職業レディネスと課題価値評定との関連から―」『教育心理学研究』51(4)、日本教育心理学会、2003、p.367.)との指摘がある。
進路目標を明確にもっている学生とそうでない学生では、「利用価値」か「学習の面白さ」という具合に求めるものが異なるといい、それぞれに意義を感じる。これらを踏まえると、役立つとか楽しいといった意義を実感できることを考慮して活動を構成することが重要であるといえる。