風鈴が鳴った。そよりとも風が吹いていない朝なのに、また鳴った。時計を見ると、まだ八時を過ぎたばかりだ。それでも、もう蒸し暑い空気が開けた窓から入り込んでくる。チリン。チリン。小さくなったり大きくなったりしながら、立て続けに鳴り出した。この家を建てたときに祖母が買ったという南部鉄の風鈴は、もう六十年以上は経っている年代物だが、まだ澄んだ音を立てている。ベランダから庭に出て、表玄関に回った。梅雨の…
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