五月の夜明けの空気は肌に冷たく、キーを回すとエンジンの音も鋭く感じられた。車を発車させた。孝介のハンドルさばきは確実だった。無駄な動きがない。ハンドルに手を乗せて静かだった。「一緒のところを見られたら間が悪いだろう。俺を送り出して平気だったとか言われて。勝手に出ていったことにしたかったんだ」「そんなことに気を遣う人が、本家の田植えを手伝わないで平気なんて、不思議」「義理や筋より由布子がかわいい」…
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