やがて疎開が始まる。国民学校二十八校のうち、二十校が神奈川の奥に集団疎開した。後から聞くと、そのあたりは相模湾から一気に飛行機が上ってくる場所で、土地の人たちは逃げる算段をしていたという。一般の人たちも三万人近くがつてを頼って安全な場所に移っていった。道の片側の家が延焼を避けるために壊された。建物疎開である。いつも一緒に遊んでいた道子ちゃんの一家もそのために越していった。駅のホームで手を振って…
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