三日ほど考えて、田村の要請を受けることにした。不安はたくさんあるが、パートの花屋の仕事よりは安定する。店長も有美さんも、残念だけれど将来のためにと喜んでくれた。 翌月から美智子は花屋のパートを辞めて、田村が紹介してくれた商社の園芸部に勤務することになった。美智子はつなぎの作業服が気に入っていた。別に会社から着るように言われたわけではなかったが、その中に身を入れると外界から守られるような気がした。…
[連載]いつか海の見える街へ
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小説『いつか海の見える街へ』【第16回】須賀 渚
穏やかで優しい彼。彼から紹介された職場で働き始めた。―だけど彼の薬指には指輪がある。
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小説『いつか海の見える街へ』【第15回】須賀 渚
彼に見つめられただけで、胸から首の辺りがふわっと熱くなった。少しワインを飲み過ぎたようだ……
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小説『いつか海の見える街へ』【第14回】須賀 渚
「雲がきれい」とつぶやく娘の声で突然居酒屋の女将を思い出し…
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小説『いつか海の見える街へ』【第13回】須賀 渚
おねだり後に姿を消した彼女。以来仕事に身が入らずうつ状態が続き田舎に帰ろうとついに退職を決意し…
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小説『いつか海の見える街へ』【第12回】須賀 渚
想定外の告白に頭が混乱…「ねえ、もう一回して」とねだられ…
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小説『いつか海の見える街へ』【第11回】須賀 渚
店が潰れるという噂に足を運ぶと「抱いて」と柔らかい体が絡んできて…
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小説『いつか海の見える街へ』【第10回】須賀 渚
手を握り返したときの動揺で体が揺れ、支えてくれた彼の手の薬指にはリングが…
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小説『いつか海の見える街へ』【第9回】須賀 渚
ブレスレットのメダルに触れられ、教会の静謐な空気を思い出し…
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小説『いつか海の見える街へ』【第8回】須賀 渚
手作りの籠が翌日には売れていて…。昔描いた夢に一歩近づいた日
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小説『いつか海の見える街へ』【第7回】須賀 渚
「気持ちがトゲに乗り移ったんだ!」指を刺した花は、彼の妻が売ったものかもしれない…
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小説『いつか海の見える街へ』【第6回】須賀 渚
「願ったら不幸になる人ができる」想いを振り払った時、彼が娘を連れて後ろに立っていた。
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小説『いつか海の見える街へ』【第5回】須賀 渚
理不尽に殴られた女の子…「やり返したわね、すごい」と感心した姿
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小説『いつか海の見える街へ』【第4回】須賀 渚
「東京に来て、三人で暮らさないか」心入れ替え、妻と向き合う
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小説『いつか海の見える街へ』【第3回】須賀 渚
妻を思うゆえにすれ違い、1人で東京へ…「何重にも傷つけた」
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小説『いつか海の見える街へ』【第2回】須賀 渚
東京からの転校生。少女が「江東区」という言葉に反応したワケ
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小説『いつか海の見える街へ』【新連載】須賀 渚
「今日は縁日ね」居酒屋の女将は不愛想な客と連れだって…