きっとこの穴は一生埋まらないだろう。この悲しみと、この重みと、この残酷に揺れ動く運命にも逆らうことなんてできない。けれども悟は今でも、亜希子を守ってくれていた。悟の事故について散々騒ぎ立て、亜希子の元にまで押し掛けたマスコミやはやし立てるように騒いだ世間は、あっという間に悟のことを忘れた。その状況で、自ら死を選び、亜希子の心に住んでいる悟までをも葬ることができるはずもなかった。それは話題になるの…
[連載]振り子の指す方へ
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エッセイ『振り子の指す方へ』【最終回】山口 ゆり子
「私、まだ生きているよ。でも、もう止めたい」…事故で恋人を亡くした私は、ひとり呟き、当てもなく歩き続けた。
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エッセイ『振り子の指す方へ』【第20回】山口 ゆり子
大きく跳ね上げられたのは、彼だった。―トラックとバイクの衝突事故の映像。バイクには、私が贈ったステッカーが…
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エッセイ『振り子の指す方へ』【第19回】山口 ゆり子
何故、妹の夫に体を許してしまったのだろう。もう誰のことも好きになれないはずの私は、ただあなたとの日々を想って…
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エッセイ『振り子の指す方へ』【第18回】山口 ゆり子
堪らず見開いた視界に、亜希子が先ほどまで身体を預け快楽を貪りあっていた男はいなかった…
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エッセイ『振り子の指す方へ』【第17回】山口 ゆり子
あの日、同じように妻を抱きしめていたのなら…。泣いている義姉をソファーに横たえ、そして…
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エッセイ『振り子の指す方へ』【第16回】山口 ゆり子
愛する人と父を相次いで亡くしその痛みを敢えて忘れずに必死に生きてきたのに…
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エッセイ『振り子の指す方へ』【第15回】山口 ゆり子
母から紹介された還暦に近い男性から向けられた下品なひと言。惨めな気分で席を立った…
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エッセイ『振り子の指す方へ』【第14回】山口 ゆり子
精神的ショックで壊れた妻。穏やかで幸せな日々は遠のき…
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エッセイ『振り子の指す方へ』【第13回】山口 ゆり子
妻が流産してからの二年というもの、何がいけなかったのかとひたすら考え続けてきた
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エッセイ『振り子の指す方へ』【第12回】山口 ゆり子
姉は突然アメリカに行くといった。母と離れ、自分の時間を持つのは良いことのはずだ…
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エッセイ『振り子の指す方へ』【第11回】山口 ゆり子
自分の部屋から出てこなくなってしまった姉。一番に相談したい父はパーキンソン病に…。
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エッセイ『振り子の指す方へ』【第10回】山口 ゆり子
姉の深い孤独に…。妹はベッドに潜り込み小さな体で背中を抱きしめた
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エッセイ『振り子の指す方へ』【第9回】山口 ゆり子
幼少の頃から自覚があった…人の感情に敏感な少女の苦悩とは
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エッセイ『振り子の指す方へ』【第8回】山口 ゆり子
【小説】「なんと対照的」...喧嘩が止まらない成人済みの姉妹
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エッセイ『振り子の指す方へ』【第7回】山口 ゆり子
【小説】白いワンピースに淡い桜色のボレロ 。紅茶のトレーも危ぶまれるほどの華奢で白い少女は
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エッセイ『振り子の指す方へ』【第6回】山口 ゆり子
【小説】待ち焦がれた赤ん坊を流産し…狂い始める夫婦生活
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エッセイ『振り子の指す方へ』【第5回】山口 ゆり子
ふと蘇る父の言葉「怖くても、決して、人を信じることをやめてはいけないよ」
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エッセイ『振り子の指す方へ』【第4回】山口 ゆり子
「心の闇が形作られてしまった」素直で可愛いばかりの妻が抱えた過去
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エッセイ『振り子の指す方へ』【第3回】山口 ゆり子
「鬼の形相とはこのことか…」小柄な妻の信じられない姿とは
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エッセイ『振り子の指す方へ』【第2回】山口 ゆり子
家事の手際が良すぎる妻、いつの間にか貯金は二千万円に!?
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