頼朝と亀の前の事件はそれで終わったわけではなかった。亀の前への仕置きに飽き足りない政子は、今度はお牧の方の父の牧三郎宗親に命じて、亀の前を匿(かくま)う伏見冠者広綱の宅に押しかけさせて、家を叩き壊して大層な侮辱を加えた。この事件は「うわなり打ち」の一種で、一般的には前妻が親しい女たちと徒党を頼んで後妻を襲い、家財などを打ちこわし乱暴をはたらく行為である。“うわなり”とは、古語で前妻を意味する〈こ…
[連載]悪女万華鏡
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小説『悪女万華鏡』【第19回】花山 天女
嫉妬心は愛情生活には切り離せないが、それが限度を超えてしまうと悪となる
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小説『悪女万華鏡』【第18回】花山 天女
政子が亀の前に対して行った淫靡な仕置き。はたして懲罰となったのかは…
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小説『悪女万華鏡』【第17回】花山 天女
「妾に後れを取らずにしっかりと無間地獄に堕ちるのじゃ!」
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小説『悪女万華鏡』【第16回】花山 天女
「何という、あさましい格好をさらしおって、しょむない女め」と罵った政子だが…
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小説『悪女万華鏡』【第15回】花山 天女
「そ、そ、そんなご無体な!」政子が取り出したものに、亀の前は悲鳴をあげた
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小説『悪女万華鏡』【第14回】花山 天女
欲情した女というものは何と美しいのか・・・政子の中に沸いてきた亀の前へ憐憫と愛情
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小説『悪女万華鏡』【第13回】花山 天女
安産を念じて媾合を避けたがゆえに…。政子の嫉妬深さは尋常ではなかった
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小説『悪女万華鏡』【第12回】花山 天女
頼朝と亀の関係を知った政子は、激怒のあまり亀を檻で縛り上げ…
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小説『悪女万華鏡』【第11回】花山 天女
歴代に名を遺す英雄はみな"色ごのみ”…好奇心旺盛に行動するための原動力とは
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小説『悪女万華鏡』【第10回】花山 天女
この時、夫が政子に要求したのは[巴どり]という刺激的な型で…
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小説『悪女万華鏡』【第9回】花山 天女
「もう死にそう、この身を天国につれていかっしゃれませな!」
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小説『悪女万華鏡』【第8回】花山 天女
「政子どの、今こそ貴女と私はまことの夫婦になりまするぞ」
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小説『悪女万華鏡』【第7回】花山 天女
頼朝との初夜、『枕草子』にならい恥じらう姿を見せようとするも…
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小説『悪女万華鏡』【第6回】花山 天女
「多夫多妻」の古代日本…“不倫”の概念がない男女平等の社会とは
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小説『悪女万華鏡』【第5回】花山 天女
【時代小説】政子が頼朝と結婚した理由…「只のお人では無い」
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小説『悪女万華鏡』【第4回】花山 天女
【時代小説】婚約者から逃げ出し、夜の寝所へ忍び込むと…
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小説『悪女万華鏡』【第3回】花山 天女
【時代小説】夫と妾の行為を見せられる政子…「狂った陰獣」
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小説『悪女万華鏡』【第2回】花山 天女
【時代小説】今夜夫婦の契りを迎えるはずが...「何事も勉強じゃ」
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小説『悪女万華鏡』【新連載】花山 天女
【時代小説】男勝りで負けず嫌いな政子。行き遅れの娘を持て余した父は…