第1部 政子狂乱録

一 蛭ヶ小島(ひるがこじま)

「そうさな、お豆、今度は後ろ向きで乗るのじゃ」

息を弾ませながら判官は命じた。肉づきのいい両腿を割って乗りかけていた女は、あわてて今度は腰を浮かせて一回転ひねって男の屹立した一物の上にユルユルと量感のある尻を落とした。豊満な乳房を背後から両手で包み込むようにして、判官は腿の上に座り込む女の全身をぐっと自分の胸に引き付けた。

そして掌で柔らかく包み込んだ女の両乳房の乳頭をコリコリと微妙に揉みほぐす。

「ああっ、ああっ」

粘っこく乳房を揉みあげられて女の喘ぎの声は一層激しくなり、膝の上に乗り上げた裸身を狂おし気によじらせた。判官はその態位のまま肉体を一つに繋ぎ合わせようとした。ぐう~っと女の豊満な臀部を、腰を使って浮き上がらせて自分の肉塊を滑り込ませようと計る。

後方から、掻かいくぐる様にして前方の女陰に己の巨大な一物を没入させるなど、そこらの並の男にできることではない。政子を前にしたこのあられもない格好は、後ろ向きになって判官の膝にまたがるお豆の姿勢が、今まさに馬が駆け出そうとする様子にそっくりではないか。

男が膝を折るか胡坐を組むかして座っている前へ、女が後ろ向きで尻を乗せ、前かがみになって、膣口を後ろへ押しつけるようにして上下運動を激しくするため、男の一物が外れやすいので、一儀に及ぶに当たっては引ひきうす臼を扱うように円形運動で行うのが大事だ。

畳の上では勃起の角度と膣軸の方向を合わせるために、男が後方へそるか、女が前へ半ば這うようにして躰を曲げる必要がある。判官はこれこそ、在郷の青侍風ふ ぜい情など誰も真似のできない自慢の特技だと自負している。

どろどろに蕩とろけた洞窟の柔らかい壁襞が、待ちかねたように、ざわざわと男の一物に絡みついていく。女のヌメヌメと締め付けてくる感触が伝わると、さらに膨れ上がった男根は壺の奥底で縦横無尽と暴れ始めた。

「お豆、どうじゃ、どうじゃ、好かろう、好かろうが~」