売値が十五万円もするのだ。いくら売り物にならないとはいえ、それをタダで客に渡してしまうのはどうだろうか。仕入れのルートやその処分方法を考えても、やはりそれでは可笑しいというものだろう。春彦はそんなことを考えながら、難しい顔をしていた。郁子も春彦の隣で難しい顔をしていた。しきりに、その青いシミの匂いを嗅いだりさすったりしていた郁子が腕まくりをして持ってきたのは、チョコレートの缶と何かの液体が入った…
新着記事一覧
-
エッセイ『振り子の指す方へ』【第2回】山口 ゆり子
家事の手際が良すぎる妻、いつの間にか貯金は二千万円に!?
-
エッセイ『司法の国際化と日本 法のグローバリズムにどう対処する』【第4回】秋山 武夫
「できるだけ避けたい」のに、米国人が訴訟を多く起こすワケ
-
エッセイ『アルコール依存症だった私』【第10回】阿部 ケニー
「飲酒で人間関係が円滑」は時代遅れ!飲めなくても変わらない
-
エッセイ『酒とそばと』【第7回】犬田 忠之
「ほくそ笑んだ」…秀吉の酒酔いを見て、家康が思ったこととは
-
小説『飛蝶』【第9回】袴田 正子
「お前らは最低だ」…自分に媚びてくる金持ちの女に思うこと
-
小説『ブ・デ・チ【文庫改訂版】』【第9回】鶴石 悠紀
「すっかり満足」いじめられ女子、先生の前で泣き出す演技!
-
小説『維新京都 医学事始』【第4回】山崎 悠人
【歴史小説】北里柴三郎は後輩!彼を頼りにベルリンへ留学
-
小説『エンゲージ・リング』【第9回】范 優生
「なんで他人と比べようとするの」マウントを取る女医に一言
-
エッセイ『77才からの便り 晩送歌』【第10回】岡田 京子
「養母の愛する人が私の布団に」…小学生が受けた壮絶な日々
-
小説『雷音の機械兵』【第11回】涼海 風羽
必死に敵襲を叫び走るも、村人は起きず…「このままでは全滅」
-
エッセイ『母娘旅。』【第2回】july
【今だから言える親への「ありがとう」コンテスト大賞作】母がどんどんボケ老人になってきた
-
小説『パペットのように』【第9回】楢井 春生
「私のプランの一角に加わらないか」オーナーが会社を売るワケ
-
評論『黒い花Ⅱ』【第8回】大伴 健,長友 良憲
作品集「黒い花Ⅱ」より三作品
-
小説『獅子谷家の事情』【第16回】棚小路 蔵人
皆が驚愕…英語を話せる生徒が「なぜ話せるのか分からない」ワケ
-
評論『変人ポーの人間力』【第8回】苅部 俊正
「人は変化を嫌う」が…変化を実行するために“大事な覚悟”とは
-
エッセイ『ロッキー山脈を越えて』【第7回】亀井 健司
「世界一豊かな国」でお金を請う人々に対し…「自分への怒りが湧いた」行動とは
-
エッセイ『徒然な男のブルース オケラの戯言365話』【第7回】石田 五十六
正反対のものをまとめた不可思議な「法文学部」はなぜ存在する?
-
小説『百合墓荒らし』【第9回】夏緒 冬弦
尊敬、憧れでもない…「月を眺めることに似ている」彼女と私の関係
-
評論『Listen to The Beatles !』【第9回】Kad Lennon
ビートルズの『ア・ハード・デイズ・ナイト』が疾走感溢れる名盤となったワケ
-
小説『ノスタルジア』【第8回】森下 修作
「僕がAIであるはずがない…」突きつけられた衝撃の事実とは