ホットハウス・アース説(劇症型地球温暖化説)
論文では、ドミノ倒しのように連鎖してホットハウス・アース現象をもたらす恐れのあることとして、次の10の自然現象を挙げています。
(1)北極と南極の氷床の減少
(2)夏季の南極域の海氷の減少による気温上昇
(3)夏季の北極域の海氷の減少による気温上昇
(4)北半球の積雪の減少による気温上昇
(5)北方林の大規模な枯死による二酸化炭素の放出
(6)アマゾン熱帯雨林の大規模な枯死(火事も入るでしょう)による二酸化炭素の放出
(7)海洋におけるバクテリア増殖による二酸化炭素の放出
(8)陸上と海洋の生態系による二酸化炭素吸収の減少
(9)海底のメタンハイドレートからのメタン放出
(10)永久凍土の融解によるメタンや二酸化炭素の放出
が挙げられています。
ここに挙げられた10の自然現象は、夏季の北極と南極における海氷の減少による気温の上昇、北極と南極の氷床の減少、シベリアなどの永久凍土の融解、世界中で頻発する「消えない」山火事など、いずれもすでにそれと思われる現象が起こっています。
しかもその二酸化炭素の量は膨大です。たとえば、北方の永久凍土に蓄えられている有機炭素の量は1兆3300億トン~1兆5800億トンと推定されています。温暖化で永久凍土が融解すれば、地中のメタンが放出されて温暖化がさらに進み、それによってメタンの放出がますます増えます。
すでにシベリアでは数年前から、メタンが放出された大きな穴や傾いた建物などの報告があります(2017年4月、ロシア・ヤマル半島の永久凍土が解け、メタンガスの圧力が地中で高まって爆発してできた直径数十メートルの穴。1度当たり400万平方キロ、1.5度なら200万平方キロが解けるおそれがあると報じています)。