俳句・短歌 歴史・地理 歌集 古事記 2020.11.06 歌集「古事記物語・異聞」より三首 歌集 古事記物語・異聞 【第28回】 松下 正樹 私たちの太陽(アマテラス)はどこへ行ったのだ? 日本人の原像がまざまざとよみがえる。 日本最古の史書『古事記』に登場する神々の世界を詠う、他に類を見ない叙事的な歌集。叙情的な文語と明快な口語を絶妙に組み合わせながら、神々の悲哀と愛憎をつぶさに表現する。 日本の神々は、民と交わり、民とともに働き、人間同様死にゆく存在でもある。 王国の成立と興亡の歴史が秘められた『古事記』の世界を、人々の悲しみと喜びを歌で再現。日本人の原点の物語を連載でお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 そうすると旨い食べ物やお酒など つぎつぎにととのえ出してくれた もてなしに感謝しながら須佐之男は 厨房をそっとのぞいて見た 大気都比売口から鼻から尻からも 食べ物を取り出しととのえていた
小説 『再愛なる聖槍[ミステリーの日ピックアップ]』 【新連載】 由野 寿和 クリスマスイヴ、5年前に別れた妻子と遊園地。娘にプレゼントを用意したが、冷め切った元妻から業務連絡のような電話が来て… かつてイエス・キリストは反逆者とされ、ゴルゴダの丘で磔はりつけにされた。その話には続きがある。公開処刑の直後、一人の処刑人が十字架にかけられた男が死んだか確かめるため、自らの持っていた槍で罪人の脇腹を刺した。その際イエス・キリストの血液が目に入り、処刑人の視力は回復したのだという。その槍は『聖(せい)槍(そう)』と呼ばれ、神の血に触れた聖(せい)遺物(いぶつ)として大きく讃えられた。奇跡の逸話(…
小説 『紅の脈絡』 【第5回】 水無月 慧子 切り開いている「道路」という名の地獄道の完成予想図を見て土俵に上がる直前のように目を輝かせ… 千鶴が口を開いた。「何人殺めたのかは知らないけれど、それ以外に道がなかったんでしょう? あなたの生真面目で愛妻家なところから考えると、そう思えるわ」虎太郎の目に涙が浮かんだ。ゆきも涙を流していた。「千鶴。僕が思うに虎太郎くんは正当防衛だ」「やっぱり!」ゆきが虎太郎の大きな手に、自分の痩せた手をのせた。「何があったのか、想像はつくわ。ゆきさんは美人だもの。虎太郎さんは、ゆきさんを暴漢から守るため、…