俳句・短歌 歴史・地理 歌集 古事記 2020.11.08 歌集「古事記物語・異聞」より三首 歌集 古事記物語・異聞 【第29回】 松下 正樹 私たちの太陽(アマテラス)はどこへ行ったのだ? 日本人の原像がまざまざとよみがえる。 日本最古の史書『古事記』に登場する神々の世界を詠う、他に類を見ない叙事的な歌集。叙情的な文語と明快な口語を絶妙に組み合わせながら、神々の悲哀と愛憎をつぶさに表現する。 日本の神々は、民と交わり、民とともに働き、人間同様死にゆく存在でもある。 王国の成立と興亡の歴史が秘められた『古事記』の世界を、人々の悲しみと喜びを歌で再現。日本人の原点の物語を連載でお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 須佐之男は不浄な物に耐えられず 大気都比売を斬り殺したり 死といふは亡びにあらず新しき 命のはぐくまれよみがへる 息絶えし比売の身体の陰に麦 二つの目には稲の穂が生る *比売 大気都比売のこと。
小説 『アイアムハウス』 【新連載】 由野 寿和 静岡県一家三人殺害事件発生。その家はまるで息をするかのように、いや怒っているかのように、大きく立ちはだかり悠然としていた 午前十一時。サイレンを鳴らさず、車両は静岡県藤市十燈荘(じゅっとうそう)に到着した。静岡中央市にある県警本部から十燈荘までは、藤湖をぐるっと大回りして藤市経由でトンネルを通り、小山を登ることになる。藤湖を見下ろす高級住宅街、十燈荘は、土曜の昼だが活気はない。既に外部への交通規制が敷かれているとはいえ、不気味に静まり返っている。ここで殺人事件があったことを、住民達が知っている気配はなかった。その家…
小説 『司法崩壊! ~刑務所が足りない!起訴できない!~』 【第13回】 利根川 尊徳 物見遊山顔で自動車会社の人事担当課長が刑務所を訪問。模範囚三人の受け入れ条件の細部について話を進めるも… 続けて「そんな訳でかみさんは、子ども二人を片付けてからは、愛犬家として俺より飼い犬のマルチーズにご執心だ」と今度は須崎がかみさんの事を愚痴ってみせた。「何だ、お前のところは犬か? うちは猫だ。かみさんが三毛猫をそれこそ猫可愛がりしている」と里村の家では猫を飼っていると明かした。こうして、二人は八時半過ぎまで酒を酌み交わした後、須崎は在来線に乗り、来る時と違って高崎駅から帰りは北陸新幹線はくたか五…