月曜日の〈デイサービスシルバースポーツ〉が十時すぎ。水・土の〈デイサービスぱ
ふぇ〉が九時前後に「きょう行きます」と電話がくることに。
母が僕に言った。
「なに、はやとも行くの?」
「行かないよ」
「なーに。あたしが一人で乗っていくの?」
「そう。きのう、体操したところがあったじゃない。この間は器械体操をしたよ」
「いいよ。行かないよ」
「楽しかった、ってすごい言っていたくせに、急にどうしたの?」
「一人で行くの、嫌なの」
「門まで送るから大丈夫だよ」
〈ぱふぇ〉の佐藤さんが笑いながら母に言った。
「幸子さんの明るさなら、すぐに慣れちゃうと思う。ちょっと緊張しますか?」
「緊張するから嫌。一人では嫌だよ」
僕は言った。
「夜も二階の寝室に行くとき、一緒に行こうよと僕に言って、一人じゃ二階に上がらないんです。僕が歯を磨き終わって一緒に行くまで階段を上がらない」
赤ちゃんみたいだね、とゆっこ。
「だから、一人で行くのは嫌。最初に誰か一緒に行くの?」
佐藤さんが名乗りでた。
「この赤いポロシャツ着ている私がご一緒します」
「でも、一人では嫌。行くの嫌だよ、あんなとこ」
超わがまま、とゆっこは言いながら、契約書類に筆を走らせていく。
「言っておこ。ねえ、ゆっこ。一人で行くのは嫌って言ったわ」
ゆっこは構わず、「よろしくお願いします」と頭を下げる。
「では、幸子さん。お待ちしております。私が迎えに来ますから」
佐藤さんがゆっこに書類を手渡す。
試し読み連載は今回で最終回です。ご愛読ありがとうございました。
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