【前回の記事を読む】子どもの頃から嫉妬とは無縁だった…だが今はスーパーで買い物し、電車で他愛もない話をする老夫婦だけを「いいな」と妬むようになった
第2章 その後
1 二年目は現実逃避
さて、最初の一~二年目、この頃の子供たちは?
(私の記憶では)パパが亡くなってから、三か月くらいが経った頃、2021年夏に息子は渡米した。さかのぼること、息子が高校3年生、進路として渡米を考えていて、パパが生きていた頃。
迷っていた私たちに、姉が「何迷ってるの! 日本の大学行ったって東大以外一緒だよ! 本人が行きたいんだから、いろんな経験させなさい!」とパパと私の背中を押してくれた。
息子の背中ではない。息子はとっくに決心していたから。
大学入学はゴールではなく、それぞれが何をするのか、どうこれから進むのか、“そこから”が大事だということである。
今後を左右するのは大学の名前ではなく、あくまでも、その人の身についたもの。そしてそれは誰にも盗まれない唯一のもの。
彼の気持ちはパパがいなくなっても変わらず固く、私は何の助言もせず、母の言葉もなく彼を見守っただけだった。
彼は自分で決めて、すべてを日本に置いて、一人で渡米した。洗濯も料理も、何もかも私がしてきてしまったおぼっちゃまが、全部一人で。
“ちゃんと行けて良かった”
一人での海外は初だったが、時間のない乗り継ぎもなんとかこなし、コロナ規制のための二週間のホテル隔離も、言葉の通じない知らない土地で頑張って耐えた。すごい息子である。
“さすがパパの子”
小学生の時から息子を見てくれているサッカーのコーチが、数か月前に生まれて初めてサッカーをやりたくなくなった息子が心配で相談した時に「誰よりもパパの気持ちを背負っているから、もう何も言わなくていいと思いますよ」と、言っていたなあ。
そして渡米から一年。息子はサッカーでいろいろと賞をいただき、さらに上の大学に移籍させてもらった。そちらも自分で決めた。パパも見ているかなぁ。