12月が決算だった頃、本当にいそがしくて、クリスマスが大嫌いだった。クリスマスソングが流れ始めると、気持ちも焦り始め、急かされているようで、本当に嫌だった。

また、「受付のスタッフが37・3度熱があるから、ママ代わってー」と電話がきた時、私は39度の熱だった!

スタッフ用トイレで、吐いては栄養ドリンクを飲み、どうにかしてしのいだ。コロナ前の話だから、そんな感じだ。

一人目の息子の出産の時。陣痛が始まり産婦人科病棟の陣痛室で待機している間にもスタッフから電話があり、「辞めたいと〇〇さんが言っています! 院長が厳しいからって」。

私は「本当にごめん、そっか、しかたないかなぁ。今はちょっと……、院長には話して明日必ず連絡するね」と言った。

出産後は夜に病室で給料計算をした。新米ママは入院中も予想以上にいろいろといそがしく日中に仕事をやる暇はない。

六人部屋だったので極力小さな明かりの中で夜な夜な電卓をたたいた。何といっても、ママになることも私には初めてのこと。

そんなことを繰り返しているうちに、みんなクリニックの妻はこんなことやってるのか???と不満は募る。

爆発しそうになりながら、次のレセプト(保険請求申請のこと。これを毎月1回やらなければクリニックにその月の報酬は入ってこない。つまり収入が入らないということだ)が終わったら、絶対に家出してやる! 耐えられないわ!と何度も思った。

ところがどっこい、レセプトを終えると、気持ちにも余裕ができて、あっさりまたパパとTVでお笑いを観ては大笑いし、お洋服大好きなパパと買い物に行ったり、映画を観に行ったりして、しっかりエンジョイしてしまっている。

あれ??? そして、落ち着いてよく周りを見てみると、実は結構みんな妻たちもやっているのである。

世間で思われているほど優雅な世界ではなく、みんな髪を振り乱して頑張っている。

そうやって私も私なりに二十年やってきたおかげで、今、パパの後を、まだ形だけかもしれないが引き継ぐことができた。スタッフが私を受け入れてくれた。

全く関わらずに今まで来ていたら、パパが心血注いだ、みんなで頑張ったこのクリニックを継ぐことなく人手に渡していただろう。

 

▶この話の続きを読む
私の前では滅多に泣かなかった娘…だがママ友には泣きながら本音を話していた。「あなたが我慢するからじゃない?」その一言がズシンと響いた

👉『ボタンのありか』連載記事一覧はこちら

【イチオシ記事】どのような経緯で二人きりになったのか、どうしてホテルに行くことになったのか覚えていなかった

 

ゴールドライフオンライン(GLO)は、表現者を応援するウェブメディアです。
生身の人間が紡ぐリアルな言葉だからこそ、読者の心を揺さぶる力があると確信しています。
あなたも、"表現者"になってみませんか?
ゴールドライフオンライン(GLO)編集部:glo_henshu@gentosha.co.jp