次に堀井翔が呼ばれた。彼は色白で切れ長の目をした好青年だった。
「堀井翔さん、21歳。ハムレット役の烈斗さんが杯を呷る直前にその杯を手にしたホレイショー役でしたね。杯の中を見ましたか?」
尾崎が訊ねた。
「いえ、はっきりとは。でも何かが入っているような感触はありませんでした」
堀井は蒼褪めた表情のまま答えた。
「そうですか。亡くなった烈斗さんとは随分親しかったようですね」
「はい。烈斗君には随分可愛がってもらいました。烈斗君は、僕がお芝居の仕事を始めてその難しさに悩んでいた時、すごく親身になって相談に乗ってくれました。それから仲良くなって、よく僕の部屋に遊びに来てくれるようになりました。泊っていくこともしょっちゅうでした」
「烈斗さんはどういう性格でしたか?」
「いつもとにかく明るかったですね。小さいことは気にしないというか。楽しいことが大好きでした。あと、他人を驚かすのが大好きで、僕の鞄の中にいつもゴキブリのおもちゃを入れたりして、僕が驚くと子供みたいにはしゃいでいました。さっきまであんなに元気だったのに……まだ信じられません」
「理亜さんとお付き合いしていたことに関して何か言っていましたか?」
「いいえ。僕にはそのことは話したくないみたいで。だから僕も訊かないことにしていました」