【前回の記事を読む】20代の頃、被害者の母親に執心していた舞台監督…稽古後はしつこくホテルへ誘っていたという噂。しかもその直後、彼女は突然休業していて…

ダウト2――シェイクスピアを疑え

馮が退室すると尾崎が切り出した。

「どういうことでしょう? まさか烈斗は枝園監督と瑠璃の子供……」

「やっぱり芸能界ってドロドロしてるのね。ゾクゾクしちゃう」

詩が肩をすくめた。

「もしそうだとしたら何故枝園監督は今になって瑠璃さん一家を舞台に登用したんでしょうか?」

高井良が疑問を呈した。

「監督が烈斗を自分の息子と知っていたら、彼を主役に抜擢した心情は分からなくもない。だが、もし黒田がその事実を知ったら、監督と瑠璃への復讐のために2人が大事にしているこの舞台で烈斗を毒殺する動機にはなるな」

伊藤が言った。

「えっ、じゃあ、黒田さんが烈斗さんを?」

コロネが目を丸くした。

「天蓋さんはどう思います?」

高井良が訊くと天蓋は閉じていた瞼を重たそうに開いた。

「私の意見などどうでもいい。早く次の容疑者を呼びたまえ」