次は袰岩理亜だった。彼女は黒髪の色白で目鼻立ちがはっきりしており、年齢に比して大人びて見えた。

「袰岩理亜さん、21歳。あなたは黒田烈斗さんとお付き合いしていたそうですね」

尾崎が訊いたが、理亜は涙で頬を濡らしてうつむいたまましばらく言葉を返さなかった。しかし、しばらくするとようやく重い口を開いた。

「はい。付き合っていました。しばらく前までは」

尾崎は首を傾げた。

「しばらく前まで……別れたということですか?」

「はい」

「お父さんに別れるよう説得されたんですね」

「違います」

「じゃあ、何故?」

「……」

「理亜さん、一見無関係と思えることでも実際にはこの事件と密接に関わりがあるかもしれないんです。言いにくいことかもしれないが教えてもらえないでしょうか」

「私達、異母兄妹かもしれないんです」

「えっ!」

思わず尾崎が声を上げて慌てて口を手で塞いだ。高井良達も目を丸くしている。

「どういうことですか?」

「私の母は6年前に病気で亡くなりました。父は片付けが苦手で、存命中は母が家を片付けていたんですが、今では父の部屋は散らかり放題でした。それでしょうがなく父には無断で私が部屋を片付けることにしたんです。そしたら押し入れの段ボールの中から昔の手紙がたくさん見つかったんです。差出人は加藤瑠璃さんでした。父へのラブレターだったんです。

私は黒田さんが烈斗のことを自分の息子ではないと周囲に漏らしているというのを耳にしたことがありました。手紙の日付は烈斗が生まれる数年前からその直前まででした。怖くて父にはまだこのことは話していません。でも私は真実を知るのも怖くて……でも不安でこれ以上は無理と思って烈斗には昨日別れ話をしました。

烈斗は理由は何だと怒っていました。俺は結婚まで考えていたんだって言って。でも、どうしてもこのことは話せなくて……どうしてこんなことに……ごめんなさい、烈斗……」

理亜は号泣した。皆居たたまれない気分になり、それ以上彼女に質問をすることはできず、そのまま帰宅させた。

「ああ、もう、ますます分からなくなってきたぞ。烈斗は枝園の息子ではなく、袰岩進の息子? でもそれがこの事件にどう関係しているんだ? 天蓋さん、お願いします。何かヒントください」

尾崎が頭を掻きむしりながら天蓋に泣きついた。

「尾崎君、これは私が出したクイズじゃない。無駄口叩いていないで早く次の容疑者を呼びたまえ」