【前回の記事を読む】公園銃撃事件の捜査資料を見たくて「係長の指示だから」と嘘をついた…そのまま資料入りの段ボールを、独断で持ち出してしまい…
ダウト1――銃殺を疑え
「えっ、本当に持ってきちゃったの?」
高井良が持ってきた資料を見て詩が目を丸くした。
「ええ、コロネちゃんがすぐに貸してくれました」
「君、コロネちゃんなんて言ったらあの子すごく怒るからね」
「ああ、もう怒られました。先に言っておいてくださいよ」
「ああ、ごめん。それにしてもよく貸してくれたわね。ひょっとして天蓋さんの名前出した?」
「はい」
「なるほどね」
「え?」
「いや、何かコロネちゃんも天蓋さんに弱みを握られてるっぽいのよね。あの子、天蓋さんの名前出すとすぐに何でも対応してくれるから」
「えっ、係長があんなかわいい子の何を知ってるって言うんですか!」
「何よ、急にむきになって。ひょっとして惚れた?」
「いや、そんなんじゃないですよ。でもあんな純粋そうな子にそんな後ろめたいことなんかないでしょう」
「そんなん分かんないわよ。女は生まれた時から雌豹なんだから。案外パパ活とかしてたりして」
「あの子に限ってそんなことは絶対にありません! 失礼なこと言わないでください」
「やっぱり惚れてるう」
詩は散々高井良をつついて茶化したが、彼はそれを無視して資料にとりかかった。
「言っとくけど、私達勝手に資料を見ていいわけじゃないからね」
「はい、でも、天蓋さんもいつも見てるんですよね」
「そりゃそうだけど、天蓋さんと私達じゃわけが違うからね。私達なんて少しでも落ち度があったらすぐにクビが飛ぶからね」
詩は右手で自分の首を切る真似をしながら言った。