「でもね、先生、不思議なもんですね。最近数学が分かってきてから、相乗効果と言うんでしょうか、他の教科もどんどん伸びてるんですよ」
「私、国語と英語の先生は好きなんだもん」
「そうだね。陽葵ちゃんが俺との授業のときに言ってました。真面目だろうがチャラかろうが、生徒に正面から向き合う先生が好きみたいですよ」
学校の先生を引き合いに出しながら、暗に俺も陽葵に向き合ってる、ということをアピールする俺はずるいかもと思った。
「じゃあ、数学も好きになってくれると嬉しいわ」
お母さんからズバッと言われた言葉が妙にこそばゆい。
「やっぱり相性って大事だよね。学校の数学の先生キモくって、数学嫌いになっちゃったんだよね。でも先生と出会ったおかげで、だんだん数学が好きになっちゃいました」
ペロッと舌を出しながら、くったくのない笑顔を見せる。
お母さんが時計を見て“はっ”としている。
「長々とお喋りしちゃってすみません。先生、どんどん宿題出してやって下さいな」
陽葵がお腹を押さえながらおどけて返す。
「いえいえ、もうお腹いっぱい」
お母さんが笑顔で退室していく。
次回更新は7月29日(水)、14時の予定です。
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