彼の行動で現在、何か困っていることがありますかと聞くと、息子は癇癪を起こすと自分の手首を噛む、それもきっちり同じ箇所を噛むことだと言った。
確かに彼の右手首の内側あたりの一カ所、ちょうど彼の歯型の内側に当たると思われる部分の毛が濃くなっていた。皮膚は刺激すると毛が濃くなるのだなぁと実物を見て分かった。
また彼は地面から拾った石、他人が噛んで捨てたガムなどを平気で口に入れてしまうと言う。
一番悩んでいることは、階段のてっぺんや高い所に立つと、近くにいる子どもの背中を理由もなく突然押してしまうことだと、今にも涙がこぼれそうな目で話してくれた。
お母さんにとって言葉よりなにより、彼の唐突な他害行為が辛かった。
大事(おおごと)には至らなかったものの怪我をさせたこともあり、外に出す時はいつもひやひやで気を張ってきた。
お母さんのすがるような依頼を断れるはずもなく、末っ子の療育を引き受けた。
彼は家族に可愛がられて育ったせいか、アイコンタクトの時間は短めだったが人との関わりは良かった。
また多動の動きはあるものの、声かけに対して反応が速く、すぐに声のする方を向いた。自閉症児の中には声をかけても、名前を呼んでも振り向きもせず、バリアでも張っているのかと思う子も多い中、彼は同じ空間を共有しているという感触があった。
視覚認知も良く、プリントなどを提示すると集中を切らさず取り組めた。手元に見る物がないと席を立ちそうになるが。
こばとの手作りカード教材やプリント課題で学習を進めていくと、ひらがなの読み書きもできるようになり、数と数字も対応できるようになった。
学習は好きなようで進みも良かった。運動神経も悪くなかった。
次回更新は7月2日(木)、14時の予定です。
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