「ありがとう。本当……に……」
瞳は我慢ができなくなってしまったのか嬉しくて大泣きしてしまった。
最初は周りの人が二人を祝福してくれているものだと思っていたが何かが違うと思った。
スカイツリーの展望回廊に響き渡るほどの大きさだったためか周りの人から中年男性が若い女性を不倫の末に別れ話をして泣かしていると勘違いされてしまった。本来、この綺麗な夏の夜景の中で祝福されてもおかしくなかった二人だが周りの人からの冷た過ぎる程の視線が英介一人に降り注がれていた。
「違いますよ……違いますよ……」
状況を把握した英介は急ぎ泣いている瞳を連れエレベーターに乗り込み地上に降りた。
二人はそこから少し離れた公園のベンチに座り瞳が泣き止むまで待った。
「もう大丈夫。ありがとう。今まで生まれてきて一人の男性に心底幸せと思えるようなことを言ってもらったことなかったからついつい感情が一杯になって泣いちゃったよ」
そして瞳は左手薬指の指輪を見せニコニコ笑って言った。
「ありがとう」
「うん。すごく似合うよ」
英介は瞳を抱きしめた。
そして二人は見つめ合い口づけを……と思いきや……。
「そんなことしてる場合じゃないぜ!」
トムはある愛の矢を一本放った。
次回更新は6月13日(土)、21時の予定です。
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