事件勃発

その時だった。何やらスタッフの叫び声が聞こえてバタバタ廊下を走る音がした。

私は伸びあがって廊下の方を見た。するとなんと、彼が体をくねらせて、笑いながら走ってくるではないか。あっという間にロビーに到達してカフェテーブルに足をかけようとしている。

素早い動作に啞然とし、ロビーにいたスタッフも私も止める間もなかった。

円形のカフェテーブルは、天板の半分ぐらいの大きさの台座から突き出た一本の脚で支えられていた。台座は厚さ一センチほどの鋼鉄でできていた。四本脚ではないためカフェテーブルは安定感に欠けていた。

彼はロビーめがけて突進してくるなり、立ち止まりもせずカフェテーブルの縁に足をかけて上がろうとした。

彼が体重をかけたものだから途端にカフェテーブルはガタンと傾き、上下がさかさまになった。そして鋼鉄製の台座はひっくり返ると同時に彼の後頭部下の盆の窪を直撃。

あっという間の出来事だった。

 

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すぐに駆け寄ったが、間に合わなかった…後頭部から出血。病院では髪を剃った跡もないのに、医師は「縫合した」と言う。よく見ると……

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