寝かしつけは忍耐

夜は宿舎の二階にある集会室で、ゲームやプチ運動を組み入れた集会プログラムをやった。彼は集団、グループを勝手に離れることなく、スタッフも彼の多動を忘れるくらいだった。

夜の活動のプログラムの最後は幼児教室でやっているパネルシアター。電気を消した暗い部屋でパネル人形の芝居を見せながら、子ども達の興奮を次第に静めて終了する。

部屋を明るくすると子ども達は皆ボーッとした顔で余韻に浸っている。これで子ども達は眠る気になるか、とスタッフ達は期待する。

その後グループはスタッフと一緒に部屋に戻っていく。集会室の隣にはロビーがあり、その先に子ども達が寝る部屋がある。二階の全部屋がこばとの貸し切りになっていた。

付き添いスタッフ二人も同室で就寝するのでグループの子どもと一緒に部屋に入り、子どものリュックからパジャマを取り出してパジャマの着替えを手伝う。着替えたら歯ブラシセットを持たせて洗面所に誘導する。そしてほぼほぼ介助で歯磨きを終える。

一部屋に子ども四人。付き添いスタッフ二人も一緒に寝る。添い寝に近い。部屋の電気を消し、常夜灯だけにする。

今回は部屋で泣く子がいなかっただけでもほっとした。しかし、入眠までに時間がかかるのは想定内だ。暗い部屋の中で起き上がったり歩き回ったり、布団の上をごろごろと転げ回るのは仕方がないが、部屋からは出ないように最も注意する。

話しかけたり背中をトントン叩いたりしながら、何とか眠気を誘おうと必死である。

スタッフは焦りを見せず眠った振りをしてみせる。何せ子ども達が眠ってくれた後は、子ども一人一人の合宿の記録を書く仕事が待っているのだ。

私は聞き耳を立て、部屋の前の廊下を行ったり来たりしながら、部屋の中から泣き声や歩き回る音がしていないことを確認してからロビーに行った。

そこには宿泊客がくつろぐためのソファーやラウンドカフェテーブルが五、六セット置いてあった。私はロビーの奥の隅っこのテーブルでスタッフが書く記録用紙の準備をしていた。

早々に部屋の子どもの寝かしつけに成功したスタッフが二人、合宿の記録を書きにロビーにやってきた。廊下は静まりかえっているが、他の部屋はまだまだ寝かしつけに四苦八苦しているようだった。