秋の終わり、故郷に帰る季節を迎えたオイラン姉さんは、キモッペに別れを告げて北の空に飛んでいきました。
キモッペは広大な湿原と森林のほか、砂丘もある春国岱(しゅんくにたい)に巣穴を作りました。風蓮湖の傍にあるこの地は、変化に富んだ自然がある事で、キモッペの餌になる動物も多くいました。
水に潜って魚という餌を捉えることをオイラン姉さんから教えてもらったことで、キモッペは魚も好きになりました。風蓮湖には冬になるとキモッペよりも大きなオオハクチョウがやって来たので嬉しくなりましたが、ロシアからオオワシもやって来たので、生き抜くことは大変で、また雪の量も恐ろしいほど多くて、本当に死ぬほど怖い思いをしました。
翌年の春、キモッペは4匹の子供たちのお父さんになっていました。
オイラン姉さんに再会できる日がやって来ました。オイラン姉さんは相変わらず元気に花咲岬にやって来ました。そして、再会の喜びを表現してくれたと思ったら、また饒舌に喋り始めました。
「私はモユルリ島で伴侶を見つけて、たったひとつの卵を産んで、旦那と一緒に育てて、その子供もそろそろ海に飛び出せるようになってきたんだよ。
お前には子供が4匹もいるのか。それは凄いや。私たちエトピリカは1回に1個しか卵を産めないから、人間の船に潜り込んでいたネズミなんかに卵を食べられてしまうと、どんどん数が減ってしまうんだよね。
今年の冬にベーリング海に帰って来た渡り鳥の友達から話を聞くと、大陸にあったアラル海やカスピ海が暑さで干上がってしまって、どんどん小さくなって、ほとんどの生き物が死んでしまったと言っていたよ」