【前回の記事を読む】わずか、生後4か月で——キタキツネはすぐに独り立ちさせられる。「子別れの儀式」を終えると、二度と帰ることはできず……

第四章 「4コマイラスト」が生み出した作品の彩り〜イラストレーター「川崎絵里さん」との嬉しい出会い〜

北海道 「キモッペの冒険旅とエトピリカ花魁(おいらん)姉さんの文句タラタラ」

朝になると、また、太陽が東から昇ってきます。キモッペは西に沈んだ太陽が東から昇って来ることが不思議で仕方がありませんでした。川沿いの道も延々と続いていましたが、やがて、大きな湖に出たように思いましたが、波打ち際までやって来て、その水を舐めてみたらあまりの塩辛さにペッペを繰り返し、ここは海なんだと気付きました。

とても風変りな場所で、大きな砂嘴(さし)(漂砂が作るくちばしのような珍しい地形)の先は果てしない海があるだけでした。野付(のつけ)湾を囲む野付半島という場所で、陸地が見えるのに、背の高い樹木がほとんど生えていない視界が開けた場所でした。キモッペは餌の多いその場所で一夜を明かしました。

翌朝、キモッペはもっともっと太陽の近くまで行きたいので、どうしても東の端まで行ってみたいと思いました。

東の方向は海に阻まれて道はなく、暫く南の方向に進んで行くと、川が幾つもあり、やがて摩周湖よりも大きくて河口付近は塩の味のする汽水湖でもある風蓮湖(ふうれんこ)と呼ばれる場所に辿り着いて、まだまだ知らない世界がありそうでとても興奮してきました。

旅を続けているとお腹が空きます。好き嫌いは言ってられません。キモッペはどこに行っても、自分の空腹を満たしてくれるものだったら、何でも食べて満足していました。だから、いろんな生き物と出会っても警戒心を持たれることなく、すぐ友達になって、いろんなことを教えてもらいました。そのお陰で助けられたことが何度もありました。

まだまだ太陽が沈んでいく場所は遠いようでした。さらに東の方向にどんどん進んで行くと、海辺のあちこちの店に真っ赤で大きな蟹が並べてあり驚きました。ここは花咲蟹で有名な花咲岬(はなさきみさき)という場所のようです。花咲岬から二つの大きな島が見えました。そこで出会ったキタキツネがキモッペに教えてくれました。

「あれはモユルリ島と右に見えるのがユルリ島。春には渡り鳥がいっぱい飛んで来るけど、島には泳いでは渡れない。渡り鳥の卵は美味しいんだけどなあ。時々だけど、気まぐれで、この根室半島まで飛んで来る渡り鳥がいるんだよ」

キモッペは渡り鳥を見たことがありませんでしたが、鳥は何回か食べたことがあります。ただ、鳥類は羽が邪魔になるし、身が少ないのでそんなに好きではありませんでした。