キモッペは根室半島の中心までやって来ました。そこは不思議と高い樹木が少なくて、背丈の高い草(オーチャードグラス)があちこちに伸びていて、刈り取られた丘の方にたくさんの乳牛が何十頭と放牧されていました。実にのんびりした光景です。

でも、その直後、不思議な光景が目に入って来たのです。白黒の大きなまだら模様がある一頭の乳牛の背中に色鮮やかな鳥が止まって、乳牛と話をしていたのです。

「今年の夏は異常に暑いと思わないかい? ホル母さんもこの暑いのに草をいっぱい食べてたくさんお乳を出さないといけないし、牛さんも楽じゃないよねえ」

と慰めると、ホル母さんと呼ばれた牛は「モウオ~」と一鳴きしたあと

「ほんとだよ、北海道の夏は涼しいというのは一昔前の話でねえ。こんなに朝から晩まで暑くちゃ、食欲がなくなるし、餌の草も乾きすぎていて、何回噛み続けても喉を通らないよ!」と嘆いています。

キモッペは興味津々で傍に近づくと、鳥がキモッペを見つけて

「お前さんはキタキツネの子供だね。今までに私たちの仲間を食べたことはあるのかい?」とビックリするようなことを聞いて来ます。

鳥はお母さんから貰って食べたことはあったが、口の中がクシャクシャして正直美味しくなかったことを思い出しました。

「いいや、食べた事ないけど、僕はあなたを食べたりしないよ。それより僕の友達になってくれないかなあ? あなたは何という名前の鳥さんなの?」と尋ねてみました。

全長40センチほどの大きさで、嘴(くちばし)がオレンジ色で、顔は白く、ピンク色の飾り羽が瞳の後ろからカッコよく突き出ています。太陽の光の下で輝いているその姿のあまりの美しさにキモッペは見惚れていました。世の中にこんなに可愛くて魅力的な鳥がいるんなんて!