犬は高いところが苦手と聞いていたので高所恐怖症なのかと思い、抱っこしてやる。

抱き上げて、嫌がる理由が判明した。

胸の真ん中あたりが、赤く擦り剝けている。

ダックスフントは体形を改良していく間に、脚だけが短くなっていったのか。運動はかなりするし持久力もある。したがって肺活量もそれなりにある。そのために、脚が短くても肺は普通の犬並みにある。

何度か歩道橋の階段を上り下りするうちに、短足のせいで胸のあたりに階段の角が当たり、毛が擦り剝け、皮膚まで赤むくれになってしまったのだった。

足が短いということは、それなりの苦労もあるのだ。

あとでわかったのだが、特異な体形だけにダックスフントは腰を痛めてヘルニアになりやすいという。階段などはあまり上り下りしないほうがよいと言われた。

以来、階段にくると私がひょいと横抱きにして、醸は水平面だけ歩くようになった。

雨降りは、醸を悩ませた。

短い足と長毛のせいで、少し歩いただけでも泥やら砂やらを巻き上げる。雨上がりなどは、お腹のあたりがびしょ濡れドロドロ状態で散歩から帰ってくる。

時々畑に連れていくときは、スーパーのレジ袋を使ってお腹を包んでやることにした。おかげで胸からお腹が泥だらけになったり、雑草の実が絡みつくことはなくなった。

スーパーのレジ袋は歩くたびにシャカシャカ音がする。本人もそれが気に入ったようで、身に着けている間おとなしくしている。

犬用の服はいろいろあるが、ダックスフントには胸当てがあるよ。

そう教えてくれる犬好きな友達がいて、ナイロン製のかわいい胸当てを買ってきた。以来、赤い縁取りの胸当てが、醸のトレードマークになった。

 

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