麻利衣が駆け寄り、賽子を支え起こした。彼女は口から血を流していたが、意識はあり、青竜を睨みつけた。
「これは失礼。反抗期というものは誰にでもあるものですな。だが、あまり私を舐めない方がよろしいですよ。私はあなたの卵子から生まれ、遺伝子を引き継ぎましたが、
この世の全ての悪意を吸収して、今、私の超能力(フォルス)はあなたとは比べ物にならないほど強力になっています。
どうです? お母さん。母子睦まじく、この世界を共に征服するというのは。逆らって痛い目に遭うより、素晴らしい選択だと思いますが」
青竜の眼球は人間ではありえない速さと左右で全く違う動きで四方八方に揺れ動いていた。
「断る。私がおまえみたいなちんちくりんの言いなりになるわけなかろう」
青竜の眼球運動が止まり、再び怒気を孕んで賽子を睨みつけたが、一息置いて心を鎮めたようだった。
「頑固な母親を持つと子供は苦労します。それではあなたは私がこの世界を滅ぼすのを指を咥えて見ていなさい。鷹山には何の恩情も感じてはいないが、地獄へのせめてもの餞(はなむけ)です。
彼が計画した国会議事堂襲撃計画を7月5日に決行します。その後、人類は私の足元にひれ伏すことになるでしょう。楽しみです」
そう言うと青竜は息も絶え絶えとなっている山口の傍に屈みこみ、息を吹きかけると、たちまち彼の傷は癒えて快復した。
「青竜……様」
「鷹山は死んだ。今日からは私が神撰の総裁だ。ついてこい」
彼が頷くと、青竜、山口と2人の部下は忽然と姿を消した。
「消えた!」
「テレポーテーションだ。どうせ青木ヶ原の訓練所に行ったにちがいない」
賽子はよろよろと立ち上がると燃え上がる社務所を見つめて言った。
「面白いじゃないか。悪い子にはしっかりお仕置きしてやらないとな」
次回更新は6月1日(月)、21時の予定です。
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