でも、この世界から出たら、私は再び悲鳴を上げる。だから今は出ない。この世界に留まったままでいたい。安息したい。逃げたい。すべて忘れてしまいたい。枯れ木の中にこもったまま、時間を止めてしまいたい。
「ああ! どうしてこんなに苛(いら)つくのかしら」
私は吐き捨てるようにつぶやき、そのまま言葉を続けた。
「これは監視役の私だわ」
「監視役は、どうして苛ついているの?」
カウンセラーが尋ねた。
「さぁ?」
「喋りたくないのかしら?」
「たぶんね。恥部よ、恥部!」
私は吐き捨てるように言った。
「言いたくないことは、言わなくてもいいのよ」
「言いたくない? 違うわ。言えないのだわ。言いたいと思っているのに、言えないの。あんまり愚かすぎて、恥ずかしくて喋れないのよ」
「そんなに恥ずかしいこと? 何が?」
カウンセラーが尋ねた。
「ネコニャと過ごした日々? 変ね。どうしてそう思うのかしら」
私は答えを求めて自分の心の中を探りながら、自分に問うた。
「ああ、きっと失敗したからだわ。彼が消えてしまったという結論があるから、恥ずかしくて言えないのだわ」
「その結論が恥ずかしいのね?」
彼女が確認するように言った。
「結論が恥ずかしい? イヤね。何てプライドの高い女なのかしら。私って、そんなに偉い奴だったのかしら? いなくなっちゃったものはしょうがないって、どうして思えないのかしら」
私は顔をしかめた。
「そうよ。私はプライドが高いのだわ。だから逃げ込んでいるんだわ」
私は深く息をついた。
「喋る。眠りたいもの。この苦しさを処理したいの」
次回更新は4月24日(金)、14時の予定です。
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