心地よい日差しと明るい空と穏やかな風――最高の天気だった。庭を横切っている間に、どんどんと私の気分は高揚していった。

トーヤはだぶだぶの白いコットンシャツにジーンズという姿で、門の前に立っていた。その姿を見て、ふと同じような情景を思い出した。

両親が行方不明になったと聞いて、急遽帰国したときだった。今彼が立っているところに、小学校高学年と思われる男の子がたたずんでいた。私と目が合うと、その子はあわてて帽子を目深にかぶり直して立ち去った。

「どうしてかしら? あの少年の映像が蘇るわ」

私はつぶやきながら、かんぬきを上げた。

期待に胸を膨らませているかのように、にこにこと微笑むトーヤの髪の中とコットンシャツの中で、風がはしゃいでいた。薄い胸にシャツを張り付けたり膨らませたり、忙しそうだった。

可愛い。めちゃくちゃ、可愛い。

風に嫉妬してしまうほど魅力的な姿だった。私も風になってあの胸で遊びたい。髪の毛の中ではしゃぎ回りたい。そう思うほど、本気で風に嫉妬した。

でも、今日は誰にも気がねしないで彼とだけ話ができるんだし、それで良しとしよう。パブでは忙しくて話をする時間がなかったし、私がビビるからって、トーヤはなるべく私に接近しないようにしていたけれど、今日は大丈夫。薬を飲んでいるし、他に人がいないから、緊張状態もそれほどひどくない。

「いらっしゃい」

彼を庭へ招き入れた。

「えーと、おうちの人は? 僕、迷惑じゃない?」

やけにおどおどとした様子が、もらわれてきたばかりの子猫のようだった。勢いで来てしまったものの、どう見ても女の独り暮らしには見えない家構えに、今さらになって怖じ気づいている様子だった。その姿が可愛らしくて、私は思わずトーヤの左頬に手を当て、ゆっくりと耳たぶを引っ張り、安心させる手段を取っていた。

「気兼ね無用よ。ここには私独りしかいないの」

次回更新は4月22日(水)、14時の予定です。

 

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