【前回記事を読む】爽やかイケメンが凝視してくる。何だかドキドキする…ボーイズラブって、こんな感じなの…?
第二章 面談
一、椿沢祐斗
「ほな、落語が好きになったのは、社会人になってから?」
「そうですね。もっと早く落語の面白さに気付いていたら良かったとは思いましたけど、いずれにしろ落語に出合って人生が変わりましたので」
大げさか。
「それで、落語に夢中になって?」
「そうです。最初は聴く一方だったんですが、自分でやってみたら、それも面白くって、どんどんのめり込んでいきました」
「挙句の果てには、プロになろうと?」
「まあ、そんな感じです。よろしくお願いします!」
真っすぐな目で見つめられた。思わず目をそらす。
再びゆっくりと祐斗に視線を戻す。まさにイケメン。話し方も好感が持てる。どう考えても落語家より向いている仕事があるように思える。
「君は落語家より、アイドルとか俳優とかモデルとか、そういうふうな道に進んだほうがええんちゃうの?」
思っていることをぶつけてみた。
「どうしてですか?」
素直に聞き返されると困る。
「どうしてって、普通に考えてやなあ」
「三十歳のアイドルなんておかしいでしょう?」
そんなことはない。今は色んな形のアイドルが存在する。
「小さい時、劇団に入ってましたけど、人間関係がイヤでしたし、それにモデルは学生時代に経験ありますけど、あんまり向いてませんでしたし……」
俳優もモデルもやってたんかい! そらそうやろ。
「私はアイドルでもなく俳優でもなくモデルでもなく歌手でもなく、落語家になりたいんです」
歌手は言うてないけど。まあええか。とにかく落語家になりたい気持ちは本当のようだ。
「まあ、落語家になりたいということは分かったけど、問題はやね」
それが一番確認したいことだった。