邦史郎が再び振り返った。
「あなたまでそんな馬鹿なこと言うんですか。千晶が言ったとおり、我々の誰かが彼を殺すなんてことは不可能だ。そうでしょ?」
「殺人のトリックならもう解けています」
皆唖然として鍬下を見つめた。
「ほう。少しは興味が出てきましたよ。犯人はどうやって彼を殺したんです?」
「その前に千晶さん、一つ質問をいいですか? 林は2階の部屋にたくさんのナイフをコレクションしていましたが、彼はそれを毎日鑑賞していましたか?」
「はい。彼は毎晩午前0時になると必ずあの部屋に行ってナイフを取り出しては眺めたり手入れしたりしていました。私が入ろうとするとものすごく怒るんです。そういうところも気持ち悪くて嫌でした」
鍬下はスマホの画面を皆に見せた。
「彼はその様子をSNSに何度も上げています。その時刻は決まって午前0時過ぎ。だから誰でも彼が毎夜午前0時にあのコレクションルームにいることを知ることができた。もちろんこの家の近くに来ればあの部屋の小窓に灯りがついていたでしょうから林がそこにいることは分かったはずです」
「一体何が言いたいんだ?」
邦史郎が苛立って言った。
「今日、近所の方が3月9日午前0時頃、この家の方から何か工事をしているような音が聞こえたと言っていました。それでこの家の前の路地に面しているお宅から防犯カメラのデータをお借りして3月9日の映像を見たら、深夜にクレーン付きトラックが何か大きな荷物を載せて通るのが確認されました。
ヘッドライトも消して走っていたので運転席と助手席に2人乗っていることは分かりましたが、顔までははっきり見えませんでした。ただナンバープレートは確認することができました」
「えっ、いつの間にそんなこと調べてたの? そういうことは僕にも相談してよ」
羽牟が不服そうに言った。
次回更新は1月2日(金)、21時の予定です。
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