20年ぶりにボストンに戻った。
その新しい会社コグネックス(Cognex)は、工科大学MITの講師と2人の大学院の学生の3人で始めたベンチャーで、画像処理システム開発を目的にしていた。
私が入社したのは設立してから10年ちょっとの頃で、社員数は100人を少し超えたくらいであった(2022年末で世界中で社員数は2400名になっているという)。
今度は売る商品として、半導体製造装置や検査装置のための画像解析ソフトウエアシステムを開発。
引退まで12年、その会社のボストン本社に勤務し、日本の企業との共同開発や、ソフトウエア・ライセンスの大量売り込みに寄与することもできた。コグネックスのビジネスについては、あとの章で説明する。
振り返ってみると、鉱物結晶の学術研究から始まり、大きな石油会社で地質構造の可視化、次には小さなベンチャー企業で半導体製造装置用画像認識システムの開発へと変わってきた。
言い換えると、基本は2次元・3次元構造の可視化であるが、産業環境の変化にその関心対象を合わせて転職していたといえるだろう。