【前回の記事を読む】四世代のリアル人生に学ぶ! デジタル革命が激変させる労働環境と転職の真実、未来を切り拓くキャリア戦略とは

まえがき

技術の生まれるところ

新しい技術は、大学や企業の研究所で生まれて発達していくことが多い。それで今回は、息子や私が多少縁のあったところを中心にして、アメリカにはどんな研究機関や企業があるのか、やや詳しく紹介していくことにした。学問的な研究というより、ビジネスの種になる技術の発祥の地を訪ねてみよう。

最新技術をビジネスにしていく企業は、何もないところから突然生まれるのではなく、ある場所にまとまって出てくることが多い。1960年代から1980年代にかけて、ボストン市の環状道路、ルート128(Route 128)を中心とした環状線沿いに多数のハイテク企業が誕生した。私は現役最後の12年をこのルート128沿いの企業で過ごした。

その後、1980年代以降、新しい技術の発展の中心は東海岸から西海岸に移り、サンフランシスコ市南東部に電子工業の研究所や関連企業がまとまって出てきた。電子部品の半導体にシリコンを使うことから、この地区は通称「シリコンバレー」(Silicon Valley)と呼ばれる。長男は大学卒業後、日本で過ごした5年を除いて、ほとんどシリコンバレーで仕事をしている。

アナリー・サクセニアン著『現代の二都物語』は、ルート128と対比させることで、シリコンバレーの強みを描写している。競合企業同士でも平気で協力するシリコンバレーのオープンな風土に対して、大企業が孤立主義をとるルート128は衰退していったという。

ルート128→シリコンバレーときてそのあとは? イスラエル・インド・ベルリンなどに将来の動向の可能性があるようだ。