【前回の記事を読む】失踪した教師から届いた手紙。そこには4人の生徒たちの名前が書かれていて……記された“全ての真実”は、信じがたい内容だった

第3章 目覚めた勇士

2 送られてきた小包

ファイルを開いた。夏休みの自由研究の報告書だった。

タイトルは『古代史のなぞにチャレンジ~ヒスイとヌナカワヒメの伝説~』だった。グループ名は『ナンデモ研究会』、メンバーは星野波奈、坂井文子、西森悟、宮川研一だった。

参考資料は『古事記(こじき)』『ヌナカワヒメの伝説』『ヒスイ発見の歴史(糸魚川(いといがわ)市の作成した資料)』ほか。

報告書の内容をまとめてみよう。

……ナンデモ研究会の、最もユニークな考えは、およそ一万年続いた縄文時代(じょうもんじだい)に注目したこと。

糸魚川(いといがわ)付近でしかとれない質の良いヒスイ、高度な加工技術、マガタマや大珠(たいしゅ)が、縄文(じょうもん)、弥生(やよい)、古墳時代(こふんじだい)の遺跡(いせき)から、たくさん出てくること。それも日本全国から。

およそ一万年前には、日本中に海の道、陸の道が開かれていたという仮説。

縄文海人(じょうもんかいじん)が運んだという仮説。ヒスイ加工の技術者集団をかかえた越(こし)の国が、豊かな財力、強大な軍事力、高度な文化を持っていたという仮説。

ヒスイ加工の技術者集団は、祈(いの)りを司(つかさど)るミコをひきいていた。ミコは代々(だいだい)ヌナカワヒメと呼ばれており、古事記(こじき)に登場するヌナカワヒメのモデルとなったという仮説など……。

(こんなところかな。とても小学生のレベルじゃあないな。このレポートはすごい。これが送られてきたということは、あの不思議な光景の謎(なぞ)をとく手がかりが、この研究に含(ふく)まれているのかもしれない)