大企業に採用され、出世する人の3つの条件

大企業の特性を理解すると、自ずと大企業に採用され、出世する人の条件も見えてきます。ここでは、大企業社員にとって重要な三つの採用・出世条件を説明しましょう。

一つ目は、何よりもリスクヘッジ能力が高いことです。大企業においては、意思決定に際するレビューで最も重視されるのがケースシミュレーションであり、さまざまなケースに対してどのような配慮がなされているか、が主な問答になります。

レビューとは「見直し」を意味する評価や意見を出し合う場や機会のことですが、レビュー者を変えながら、ケースシミュレーションを続けることで、より多くの観点からリスクが洗い出されては排除され、その結果として、ラガードにも社会にも配慮された丸い内容になっていきます。

多くの承認者に対して事前説明を続け、丸くしきった上で決裁依頼を流す。私もこのプロセスのヘビーな体験者です。

良し悪しはともかく、起案当初の攻めたロジックは承認フローを回す前に大体が骨抜きにされます。資料には、当初はなかった注釈が溢れ、補足パートが膨大になっていきます。

もちろん、若いときはこのプロセスに対して腑に落ちない気持ちになったことも多くありました。ただ、先ほども述べたように、大企業の特性上、意思決定するためにはこのプロセスが必要なのです。

社会的責任の強い大企業が、性急にリスクを抱えた意思決定をすることなどあってはなりません。尖りのあるロジックよりも、多くの関係者が自然に感じる、聞き心地の良い丸いロジックが優先されます。

このような考えに沿ったリスクヘッジレビューを円滑に進められるかどうかが、大企業で勤めるための第一条件です。積極的なリスクテイカーには、大企業のレビュー者は務まりません。

 

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