【前回の記事を読む】「仕事はしないでいいから、子育てと家事と両親を見るだけでいい」元夫からの余りにも理不尽な言葉に怒りを抑えきれず…
第二章 愛の試練
「何で、こんな仕打ちを受けないといけないの!」
丈哉さん、声が聞きたい。電話……仕事中だけどどうしよう。
「どうした? 珍しいな」
「……今日、お帰りは?」
「えッ、六時頃には帰れるよ」
「分かりました。気を付けて帰ってきてね」
「……分かった。何かあった?」
「いいえ、声が聞きたかっただけなの。ごめんなさい、お仕事中に。じゃ」と切った。
丈哉さんの声を聞いたら、少し落ち着いた。美味しいお夕飯作ろう。
五時頃、玄関が開く音がした。
「ただいま! 香子、香子!」
「どうしたの? 早いお帰りで」
「何があった!」ハァハァハァと息を切らしている。
「ごめんなさい。お仕事の邪魔をして」
「いや、それはいい! 何かあったんだろう?」
そしたら、我慢していた心の音が大きな声になり、泣いて、丈哉さんの胸に飛び込んだ。丈哉さん、何も言わず、ただ抱きしめてくれた。しばらく大声で泣いて、落ち着いたら
「座って、ゆっくりでいいから、何があったか話してごらん」と。
優しさが胸にしみる。
携帯を見せた。
「何、何度も同じ番号から着信があるね」
「そう、あまり何度も鳴るので、知り合いかなと思って、つい出てしまったの。それが前の結婚していた人だったの。話があるから、会ってほしいと。私は再婚していると話したの。義母からの伝言があるからどうしても、としつこく言うので、会う事にして、二時に会って話をしたの」
また、涙が出る。