「今の奥さんは仕事もしないし、家事もしない。お母さんが大変なんだ。お母さんと話して、今の妻と、子供は引き取って離婚して、私と再婚してほしいと。私に子育て、家事、両親の面倒を見てほしいと、仕事はしないでいいからと。

本当にひどい事を平気な顔で話すの。私を便利な女と思っているの。あまりにも侮辱されて、悔しくて言葉が見つからなかった。気分が悪くなるし、顔を見るのも気持ち悪い……香子、許してあげるから、君も離婚してと……許せない。我慢の限界。

あなたは、私をベビーシッター、お手伝いさん、介護ヘルパーと思っているの。バカにしているの! あなたとの結婚生活が嫌でたまらなかった。セックスは痛くて、辛くて、怖かった。思い出したくない記憶、私の記憶から消したいの。

今の夫は、心から愛してくれて、セックスがこんなに素晴らしいとは思わなかった。今、とても幸せ。二度と電話もしないで、どこかで会っても声をかけないで、気分が悪くなる。絶対に会いたくない、さようならと帰ってきた。

あまりにも悔しくて、迷惑と思いながら、丈哉さんの声が聞きたかったので電話したの。丈哉さんの声を聴いたらやっぱり落ち着いたの」

「嫌な思いをしたね。辛かったね。僕の側から離れないで、これからもいつも一緒に生きていこうね」と優しく抱きしめてくれた。

「愛しているよ」と言ってくれた。

辛くて、悲しい長い日が過ぎた。

 

二週間後、パーティーの当日。

少し不安。ドラマ等で、事件はパーティーで起きる、とかよくあるから、心配だ。

会場に入ったら、凄い人、素敵なお料理。びっくりした。

「よかった。自分でリフォームした服で来たら大変だった。恥ずかしい思いを丈哉さんにさせてしまうところだった」

シャンパンをもらい、丈哉さん、あっちこっちから声がかかる。私は邪魔にならないように、飾られている絵を見ていた。外人の方が声をかけてきた。

「エクスキューズミー」と。少しの会話程度なら話せる。

「よかったら、一緒に時間を過ごしませんか」と言っていると思う。