第2章 脊椎の寿命は75歳!?
・人間の体の寿命について考える
・後期高齢者が75歳なのにはワケがある
・理想的な75歳の足腰
後期高齢者が 75歳なのにはワケがある
私のクリニックを受診される患者さんの年齢層で多いのは、男性は72歳ぐらい、女性だと76歳ぐらいです。
ご存知でしょうか? 高齢者のうち「後期高齢者医療制度」を75歳で区切ったのには、統計上の理由があるのです。区切った大きな理由は「年間医療費」で、74歳の年間医療費がおおよそ40〜50万円ぐらいです。それが、75歳以降になると2倍の100万円に到達し、超えてしまうのです。今まで病院をそれほど受診していない高齢者が、75歳を境に、たくさん受診し始めるのです。
もちろん、入院や寝たきりとなる高齢者も増えていきます。WHO(世界保健機関)が発表した2022年版の世界保健統計(World Health Statistics)によると、平均寿命が最も長い国は日本で、84.3歳です。
対して、厚生労働省が3年に1度公表している2021年の「健康寿命」(健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間)は、男性は72.68歳、女性は75.38歳でした。つまり、高齢者は、約10年を入院や寝たきりなどで介護を必要とする計算になります。
しかも、私の感覚では介護が必要になる年齢は年々下がってきているように感じます。65歳以上の高齢者は全人口の25%を超えており、その割合は今後急速に伸びていきます。このままの状況ではたしてよいのでしょうか。
脊椎の耐用年数75年説!? でも備えがない
一般的に、人間の屋台骨といわれる「脊椎(せきつい)」そのものの耐用年数が75年ぐらいであるのをご存知でしょうか。それを理解したうえで、「私は70歳で、脊椎の耐用年数があと5年ぐらいだから、良くしておこう!」と備えて体を鍛える人が多いかといえば、淋しい現状です。南海トラフ地震が近いからと聞いていながら、防災の備えをする人が少ないのと一緒です。
骨や脊椎は鍛えようがないと思われるかもしれませんが、鍛える方法はあります。現在、骨折などの治療にピエゾ効果と言われるものがあり、実際に効果を上げています。簡単に説明すると、適度な電圧を骨にかけることで骨が強くなるというものです。
つまり、適度に運動を行うことで、骨が鍛えられるということです。
「シルバー世代応援ピックアップ記事」の次回更新は9月16日(火)、7時の予定です。
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