【前回記事を読む】「理想的な75歳の足腰」とは?——高齢になるほど膝や腰の具合が悪くなり痛くて歩けない。動かなくなる前にするべき対策は…
第3章 便利な生活をしてきた私たち
・使わない部分は退化(老化)していく
・四十腰・五十肩の今昔
・鍛えるのは上半身ではなく下半身
楽すれば身滅ぶ―使わない部分は退化(老化)していく
私は空手を長く稽古しており、人に教えたりもしています。武道の言葉のなかに「楽すれば身滅ぶ」というものがあります。「人間、楽をして使わないと体が滅んでしまいますよ、鍛えましょう!」という意味です。
産業革命が起こり、機械化・自動化が進み、車社会となり、人間はむかしほど動かなくていい時代になりました。世の中が簡単・便利で楽なほうに向かうことは仕方のないことだとは思いますが、体は退化して滅んでいきます。
昨今、リラクゼーション施設もたくさんできてにぎわっています。しかし、「体のためにはどうしたらいいのか?」
ここまで読んでいただいているみなさんは、答えをよくご存知のはずです。長く元気で、老化させないためには、動く、鍛えるしかないのではないでしょうか。
むかしと今で違う四十腰・五十肩の原因
50歳ぐらいになると、みなさん肩や腰が痛くなったと来院されます。体は痛みに順応していくので、放置しても1年ぐらいで痛み自体はおさまることが多いです。しかし私は、肩や腰が痛くなるのは「足腰が弱くなった」からだと考えております。「風が吹けば桶屋が儲かる」ではないですけれども。
動物は後ろ足から弱くなっていきます。つまり足腰(下半身)から衰えていきます。すると、背骨が支えられなくなってきて姿勢が悪くなります。するとバランスが悪くなり、脚よりも手で作業しようとし始めます。そしていわゆる猫背になり、肩は上がらず、手も後ろに行かなくなっていきます。