【前回記事を読む】後期高齢者が “75歳”なのにはワケがある!? 74歳だと年間医療費が50万円なのに対して、75歳以降は……医師が解説!

第2章 脊椎の寿命は75歳!?

理想の75歳は「歩ける」ではなく「走れる」足腰

膝や腰の具合が悪くなり、痛くて歩けなくなってきました。

「先生、このままでは歩けなくなってしまう。どうすればよいでしょうか?」

でも、実際運動は何もやっていない、やりたくないというのが、多くの中高年の現状です。しかし、そこで大変だと気づいて運動するかしないかで、65歳ぐらいから75 歳あたりで明らかな「健康差」がついてしまいます。

人間は誰しも疲れないほうがいいし、楽なほうがいいので、運動したくない気持ちもわかりますが、発想を転換し、運動を生活に取り入れることで、今後の人生が大きく変わると思います。

みなさんも、車ならエンジンをかけたら必ず動くのが当たり前で、動かなければ「故障かな?」と心配になるでしょう。

しかし体の場合は、動かなくなっていくものということを理解したうえで、動かなくなってから「さて、どうしよう?」ではなく、動かなくなる前に対策を講じるとよいと思います。

私が考える「理想的な75歳の足腰」というのは、「ちょっとぐらいなら走れますよ」と日ごろから言えるような状態です。

ただ歩けるだけでは、もしものとき―津波の危機や、誰かに襲われたときはそこで人生が終わってしまいます。「私、走ることできません」とおっしゃる高齢者はたくさんいらっしゃいます。

しかし、本当に命の危険を感じたら人は走るものです。ですから、「走れない」と決めつけてしまうことはもったいないです。

いきなりは無理でしょうが、スロージョギングなら可能です。そこからゆっくりとスピードを上げていけばよいのです。

そして「いつでも走れる」状態か確認しておかれたらいかがでしょうか。「私は散歩だけ」と限定してしまったりすると芽を摘むような話で、もったいないです。

料理でもそうですが、ちょっとやり方を教えたらできる人と、「料理は全然できない」「包丁を持ったことがない」からと言って最初から何もやらない人がいらっしゃいます。ここはポジティブシンキングで、「ちょっとやってみようか」と考えてもらえたらと思います。