【前回記事を読む】楽ばかりしてない? 筋肉を使わないと体が滅ぶ…肩・腰の痛みを予防するには〇〇を鍛えることが大事

第4章 健康を貯金して明るい人生設計を

・掛け捨てではなく、積み立てる健康習慣について
・勘違いされたストレッチ
・目的を見極め体を動かす
・JIKUのある生活を

掛け捨てではなく、積み立てる健康習慣

私は「1日24時間のうち、自分の体のことや将来の認知症予防などを考えて、午前と午後に1時間ずつ時間を作ってあげてください」と常々患者さんに話しています。 2時間だけなので、あとの22時間は遊んでいようが大丈夫。

「とりあえず1時間ずつ作ってもらったら、1年後には体は変わっていますよ」と話しています。しかし、患者さんはなかなか簡単には実践できないものです。当クリニックでのリハビリテーションも15分は頑張ってくれるのですが、それでも状態が変わらないと「それなら、やめようか」となってしまいます。

体を動かさないより動かしたほうがいい――みなさんわかってはいるのです。しかし、やっていることは、たとえるなら保険でいえば「掛け捨ての保険」。つまり、1年後には何も残らない、場当たり的な運動に終始しがちです。ですから、運動を「積み立て」してほしいのです。

5年後、10年後の自分の体のために「投資」してほしいのです。簡単なことでいいのです。サラリーマンなら昼休みを20分間運動に使ってあげてください。リモートワークの方も家のなかで可能な運動もあります。

試合前にストレッチをやっているのは日本だけ

西洋医学ではトレーニングというのは大きく言えば、「筋肉トレーニング(筋トレ)」と「ストレッチ」なのです。

しかし、このふたつが万能かというと、私も長いあいだ医療に従事しているのでわかりますが、万能ではありません。人間には、とくに日本人にはそぐわない要素もたくさんあります。

ストレッチという概念は、1986年に始まるのですが、初めて耳にしたのは私が学生のころでした。『ストレッチングの実際』(栗山節郎、山田保著・南江堂・1986)という本が出版されて、ストレッチをするとすごく良いことがあるという風潮になり、こぞってストレッチを行う流れになりました。

それが2000年あたりになると、ストレッチをしたら怪我が多くなるという報告が出始めました。欧州プロサッカーのチームドクターが、「試合前のストレッチをやりだしたら選手の怪我が多くなっていないか」と疑問を呈したのが発端となり、プロスペクティブスタディ(研究計画を立案し、ある時点から観察、データを収集する臨床試験)が行われました。

2010年あたりに「するとしないとで、怪我は同じか多くなる」という研究結果が出て、試合前のストレッチは下火になっていきました。世界中でやめていっているなかで、日本だけがまだストレッチを行っています。