はじめに

本年5月(令和5年)私も、還暦を迎えシニアの仲間入りを致しました。丈夫に産み育ててくれた両親に感謝しておりますが、かくいう私も体のあちこちにほころびが出てきております。

「体の調子が悪い」「痛みや症状がなくならない」「健康に不安が」というのは、中高年の方の永遠の悩みだと思われます。人生100年時代になった今、より健康長寿で生きていく秘訣は何でしょうか?

有り難いことに、当院に通院されている患者さんは、現在(1年間で)90歳以上 143人(うち100歳以上4人)と健康で長寿の方が多く、その秘訣を勉強させていただいています。

「老い(老化)」は何から始まるのでしょうか?

実はみなさんが想像される目、耳、歯などの衰えではなく、18歳ごろから脊椎(背骨)から老化現象が始まります。すなわち足腰から弱くなっていくのです。

弱くなれば、寝たきりに近づいていきます。抗(あらが)えないにしても、将来介護される期間をいかに短くするかで、人生のクオリティは違ってきます。まずはしっかりと足腰を鍛えることで、健康で充実した人生が可能であると思います。

そのためには、「歩ける、歩く」のを目指すのではなく、一段階上の「走れる、走る」を目指しましょう。もちろん少しで良いのです。無理をせずに少しずつ継続することが極意です。

歩いているときにこの電柱から先の電柱までとか、この坂を下る間などで良いのです。少し腕を振って姿勢を良くして走ってみましょう。体にエネルギーが吹き込まれるのを感じることができると思います。

そして美しくなりましょう。ここでいう美しさは、外面の問題ではありません。内面の美しさを指します。身に美と書いて躾(しつけ)です。

みなさまが幼少期から大切にされた礼節、作法などを面倒くさいと思わず、もういちど見直してください。足を揃え、背筋を伸ばしてみましょう。

そうすれば、凜として美しく輝くことでしょう。人生100年時代に突入しております。健康で美しく、長寿(健美長寿)で100 歳超えを目指してください。

かくいう私も現在進行形の「シニア」です。これまで診察してきたなかで感じたことが、みなさまの「健美長寿」のお役に立てばと思い本書を執筆しました。

どうか最後までお読みいただけましたら幸いです。

院長  医学博士 桑 敏之 くわ総合クリニック