このように痛みの感覚と情動には、それぞれ基盤となる神経構造が存在しているのです。
脳幹
脳幹6は頭蓋内にあり脊髄と大脳の間に位置します。脳幹は呼吸や血液循環を自動制御しており、生命維持のための最も重要な役割を担っています。脊髄から「進化的に古い経路」のひとつである脊髄網様体(もうようたい)路を上行した信号は脳幹部の神経細胞核群7に伝わります〔図3〕。
1 この点は、実際の会社(特に日本の会社)とはちょっと違うかもしれない。しかし逆に、私たちの体もときには脊髄《支店》だけで処理することもある。さらに、緊急事態の場合には調整会議すら行わず、ただちに運動系に指令を出すこともある。これを「脊髄反射」という。
2 アドレナリンは副腎皮質から放出される。
3 エンケファリン、エンドルフィンなど。〝脳内モルヒネ〟ともいう。視床下部などから放出される。
4 「進化的に古い」とは、脊椎動物の進化において古くから存在しているという意味である。魚にもある。古い経路は「脊髄網様体路」と「旧脊髄視床路」からなる。網様体とは脳幹にある神経細胞群であり、そのなかにいくつかの、特殊な機能をもった「神経核」がある。
5 新脊髄視床路という。
6 脳幹は下から順に延髄、橋、中脳に分けられる。脳幹網様体は脳幹全体、脊髄から中脳にかけて分布している。
7 腕傍(わんぼう)核、大縫線(だいほうせん)核、青斑(せいはん)核、中脳水道灰白質など。
次回更新は7月30日(水)、8時の予定です。