【前回の記事を読む】いつでも、どこでも、だれでも対応できるゆとりの体力を持って生活するには日常生活の中で全身運動の身体活動を継続するのが大事

はしがき

生涯学習のテーマとして、普通生活の中で生きる力を育む健康づくり「一般体操」を軸に、生きる活動をすることが「生活」であるならば、まず「普通の生活」に主眼を置き、実生活に役立つ身体活動や運動の工夫をする現場の指導者であることをメインに取り組んでいます。

継続的な視点から見ると、戦前、戦中、戦後生まれの人の健康と体力の差異から、昭和、平成、令和にわたる社会的背景の大きな変化とともに、生活に対する人間の考え方も変化していることに気づかされます。

世代間の相違、生活スタイルの違いによって生活動作も異なり、考え方やからだの機能にも変化が見られますが、“生きるための基礎的動作”はいつでも、どこでも、だれでも失ってはならないと感じています。

ADL(日常生活動作)には、初歩段階(寝起き、衣服着替え、食事、排便、洗顔、入浴など)と第二段階(病院、銀行、役所、買い物などに行くこと)の生活のための動作が含まれますが、初歩段階だけができている状態でも「ADLができている」と判断をしている場合があります。

自分のことは自分一人でできるように導くためにも、掃除、片づけ、料理など室内で行う動作と、公的な場所へ外出して用事を済ませる動作の区別をはっきり理解しやすくしました。

「考える」、「作る」、「使う」、「二足歩行」という人間の特質は、身につける最適時期に相応しい行動を行うことが効果的で身につきやすいのです。そのタイミングを逃すと、質、量ともに習得に時間がかかります。もっと早く始めたかったというのは、高齢社会の現場でよく聞く言葉です。そのようなとき、一般体操の使命感を感じさせられています。

バックグラウンドの異なる人を対象に行う健康づくりでは、専門家のアドバイスや支援を受け入れても、各自が満足するまで繰り返す時間は短く、消化不良状態で次の講座に進むこともあります。

非日常的な新しい体操で、興味はあるけれどついていけない、テンポが速い、順番を覚えられないなど個人差がありますし、ストレスを感じることにもなります。