【前回の記事を読む】「しょうらい、なにになっていますか?」――20年前の自分からの手紙を読んで、26歳の沢崎は再び夢に向かって歩き出す 

第1章 20年前からの質問

「俺こんなクソつまんねー人生送ってんの?」「なんでこんなことしてんの?」「冒険ゲームでいえば、キャラ名のない村人Cみたいな感じやん」

なんて思われたりしないだろうか……。

まあ、これに関してはタイムマシンでもない限り見られたりはしない。だが、そう思われても仕方ないなと納得してしまう自分も確かにいた。基本的に会社と家の往復。その会社でやる仕事も慣れれば誰でもできる仕事。

休日は昼近くまで寝て、家でゲームか愛車でドライブ。纏まった休みがあれば野球観戦か、推しのライブに参加。それだけ趣味があればいいのでは? そこそこ楽しんでない? 確かにそうかもしれない。でも何年も同じことをしていると薄々感じてきた。ちょっと飽きてきたなと……。

誰かが作ったもので楽しみ、誰かが輝いているステージを見て外野からワーワー叫ぶ。そんな日々を繰り返して年を重ねていいのだろうか? じゃあ何をする? やりたいことあったとして、お前にできるのか? 継続していけるのか? 大輔は自問自答を繰り返していた。そして……。

「あぁー考えても意味ねーよこんなの!」

大輔は現実逃避するかのように明日に備え、眠りについた。

でも、心の中では、なりたいこと、挑戦したいことは大輔にはあった。

第2章 知人の不幸

――――――1週間後――――――

大輔の心はあの日以来ずっとモヤモヤしていた。

「20年前の自分が見たらどう思うだろう?」

「このまま年を重ねていってもいいのか?」

他の誰でもない自分自身がそう何度も問いかけてくる。

「ほんと厄介なもんが家に届いたな……」

大輔はボソッと通勤中に独り言を言った。