はしがき

普通の生活の中で生きる力を育む生涯の健康づくり「一般体操」を顧みました。

人は、母体から産声をあげて生まれ、無事を喜び、生涯の終わりに「呼吸が止まりました」と告げられるまで動き続ける動物、すなわち動く生物です。生涯において健康な生活を営み、最後まで自分ひとりで思うままに自由に動けることを何よりありがたく幸せに思い、怪我や病気で動けないときは健康のありがたみを強く感じるものです。

予想もしなかった人生100年時代を迎えたいま、後期高齢者である私自身、これからどう生きていくか考えざるを得ません。

しかし、過去を振り返ってみると、これまで継続してきて身についたことがたくさんあります。そこに加えて最新情報をつねに取り入れつつ、試行錯誤をしながらも無事に過ごしていることを考えますと、一般体操を継続しているおかげではないかと実感しています。

私が体操に魅力を感じ始めたのは、中学のクラブに駆り出されたことがきっかけでした。

中学3年生から大学を卒業するまでは選手生活で、インターハイ、インターカレッジ、オールジャパンと、国民体育大会の出場選手でしたが、大学卒業後は体育教師となり一般学生の健康づくりに関わりました。

特に1964年の東京オリンピックから健康づくりブームでもあったので退職までの48年間は一般体操指導がメインになりました。その間、学校体育と社会体育をつなげ生涯学習を目標にしてきました。

そして、体操嫌いを減らしたい一心で考案したのが、「導具」(造語、著作権©を取得)と命名したオリジナル手具です。一般体操の指導にこの導具を活用することが特徴となっているほか、継続の成果や進歩の自己評価を目的に、一般体操の国内外の大会への出場も続けています。

日本体操祭(1978年から連続)、世界体操祭(1987年大会のジムナストラーダから)、環太平洋体操祭(パシフィックジムフェスト)、アジア体操祭などに、無理のない範囲で出場機会をつくっています。

そして一般体操講師として、厚生労働省、文部科学省関連、自治体の講座、カルチャー教室、企業の指導者対象講座など、学会活動では、日本体育学会、日本体操学会、幼少児健康教育学会などでの発表、健康づくりの一般体操をメインに他領域の方々と関わりながら社会体育の進化を感じてきました。